泉水みちるさん「底辺声優の所感」を読んで。
マネージャーから見た声優たちの現状
この泉水みちるさんのブログでは、声優をやめた。「夢をあきらめた」経緯や思いを赤裸々に綴り、今の声優業界の現状に問題提起を投げかけています。
それでもブログの最後の方に関してはこれから目指す「夢」に関して前向きに終えています。
本人は「夢をあきらめる年齢」ということに関して言及していますが、人間は「夢」「目標」がないと生きていけない生き物なのです。
この記事を通じて、声優を目指して今闘っている方のなにか参考になればと思っています。
まず読んでない方はこちらのブログをご覧ください。
声優を辞めるにあたって頭の中にあったことを文章にしました。
ありのまま、包み隠さず書きました。— みちる Michiru (@sensuimichiru) February 24, 2020
もくじ
泉水みちるさんとは・・・
まずはこの泉水みちるさんという声優さん。
皮肉なことにTwitterのフォロワーはこのブログの投稿をきっかけに
声優として活動していた時以上のフォロワーが増えています。。。
(2019年10月の時点で105フォロワー)
本人はどう思っているんでしょうかね・・・
ポイント
名前:泉水みちる
生年月日:1996年10月2日(24歳)
元所属事務所:オブジェクト
特技:歌・ダンス・パントマイム・殺陣・イラスト
好きな作品:アイドルマスターシンデレラガールズ
好きなアイドル:アンジュルム
好きな食べ物:ラーメン
https://twitter.com/sensuimichiru/status/1083999928873971712
ツイッターは2019年1月12日より開始しています。
ブログの中では2016年にデビューと書いてあるので、ほかの事務所にもいたようです。
もうオブジェクトに所属するときには引退を考えていたということですね。
最近また #SHIROBAKO を見返してる。オーディションに自信がないずかちゃんに縦尾先生が言った「若者が根拠のない自信を持たないでどうする」ってセリフが、当時事務所の人にかけていただいた言葉そのもので、いまもよくこのセリフを思い出して自分を奮い立たせてる。観るたびに初心に帰れる作品。
— みちる Michiru (@sensuimichiru) March 9, 2019
学生の本分は勉強
役者の本分は芝居
若者の本分は遊び?笑全部達成したい。
— みちる Michiru (@sensuimichiru) July 29, 2019
Twitterを全部読みましたが、ことあるごとに自分を奮い立たせてる。
ただ、基本的にはプライベートで旅行に行ったり、メイドカフェに行ったり・・・
ファボも基本は知り合いの声優などで0のことも多いですね。
作品としてはTwitterをみた限りでは
出演作品
Re:三国志 もえしょう物語(貂蝉、張春華、曹丕役)
こちらに出演されています。
オーディションは受けていたのかと思いますが、一年間でこれだと正直声優としてやっていくのは厳しいと考えるのも無理はないかもしれません。
泉水みちるさん「声優養成所のカルマ」の所感はコチラ⇩
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泉水みちる「声優養成所のカルマ」考察
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「底辺声優の所感」を読んで
さて、本題に入ります。
この記事を読んで思ったことを文章を紹介しながら述べていきたいと思います。
引用が多くなること、ご了承ください。
そもそも声優は(声優でなくても)、売れていても売れていなくても日々おおきな不安を抱えて生きています。
筆者の担当していた声優も、多くの作品に関わっていても「満たされる」ということはないのです。
ポイント
「ここ最近全然スタジオオーディションに呼んでもらえていない」
「演技していてもしっくりこない」
「SNSを見ていたら病んだ」
などなど、ずっとループのようにこんなことを考えています。
参考
理由の多くは「自分の才能に限界を感じたから」だそうだ。これを知ったのは高校3年生のときで、声優をめざしはじめたばかりのころだった。
知っているだろうか。日本の若者が夢をあきらめる平均年齢は24歳。
みちるさん「底辺声優の所感」より
冒頭、声優を辞めたということに関して、このように語っている。
実際、以前にも述べた通り今現在の事務所に所属している声優だけでも1万人。
その中で声優だけで生活している声優は300人。
それを考えると、多くの「新人声優」がこのように思っていることだろう。
現状、声優が低年齢化、マルチタレント化している現状では多くの芸能事務所が声優業界にも手を伸ばし、
若いうちから抱え込んでそして何も無かった物を切り捨てていく。。。
一度夢を叶えられる立場になった少年・少女たちはまだまだあきらめがつかず、
あらたに声優事務所を探し、気づいたら24歳になっている・・・
このようなことは往々にしてあると思います。
参考
いつまでたっても鳴かず飛ばず、箸にも棒にも掛からない、海のものとも山のものともつかぬ、わたし。わたしは何者になれたんだろう。このまま何者にもなれずに終わるのか、そんな自問自答を幾度となく繰り返してきた。わたしは暗く、息苦しい、出口のない洞窟をあてもなく歩いていた。徐々に酸欠になっていることに、気づかないふりをしながら。
みちるさん「底辺声優の所感」より
これは「夢」を追いかけることへの代償ではあると思います。
「確約された成功」なんて存在しない。
同様に、
「確約された失敗」も存在しないのです。
だからこそ泉水みちるさんは頑張ってこれたんだと思います。
ブログの最後にも言ってますが、この経験があったからこそ今があるのだと思います。
参考
もう、急なオーディションや現場のために突然バイトを休んでバイト先に頭を下げまくる必要もないし、そんなふうに突発的にいつ入るかわからないスケジュールのことをいつもいつも念頭において生活する必要もない。
みちるさん「底辺声優の所感」より
声優のオーディションは、突然やってきます。
そして、締め切りが近々なことも多く、その中で事務所は誰が受けるかを考え、
スケジュールを調整し、収録の段取りをして声優に案内します。
そのため、どうしてもピンポイントでお願いをすることにもなってしまいます。
「バイトや授業を休んで当たり前」
とは思っていませんが、本人が声優として売れていきたいから事務所に所属しているのだから、調整できるかどうか確認します。
そこで、まだ売れていない声優が「NO」と言えるはずがないのに・・・
そういうところから、ボタンの掛け違いが生じてきてしまいます。
そもそも、みちるさんはどのくらいの頻度でオーディションを回してもらっていたのかはわかりませんが、
所属声優が多い事務所では全くオーディションすら回ってこないということも良くあります。
そんな声優は自分の演技がどうか事務所にアピールする場所すらないのです。
話は戻りますが、基本売れていない声優はよほど実家が金持ちでもない限りバイトをしています。
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声優のギャラってどのくらい?声優の一日と仕事事情。
続きを見る
↑以前の記事はコチラ
正直な話、一人暮らしの場合5~6万の家賃をバイトで稼ごうと思ったら
時給1000円で5時間のバイトを12日間しなければいけない。
そこにレッスンやオーディションが入ってくると生活費含めたらかなり厳しいです。
みちるさんはツイッターでみる限り、旅行なども去年は定期的にしているので
今まで貯金をして溜めてきていたか、実家暮らしなのかという感じかもしれないですね。
自分の知る限りでは
・地方出身
・親からの援助がない
という方に関してはかなり厳しそうでしたね・・・
参考
そして、もうWikipediaでいろんな声優を調べて「この人は〇歳でデビューしたから自分もまだ大丈夫だ」という確認作業をしなくてもいい。
みちるさん「底辺声優の所感」より
事務所でSNSを禁止しているところは多いですが、みることはできてしまいます。
そのため、知らなくてもいい情報を知ってしまい落ち込んだり、焦ったりしてしまう。
そんなたかがネットの情報に惑わされないように、個人的にも見ない方がいいと思っています。
そんな暇があったら演技の勉強をしろ!とまでは言わないですが、
そのマイナスで落ち込んでいることが演技に悪影響が出てしまうからです。
ただ、ファンの方は大体声優なんてリプとかさらっと見るくらいだろうと思うかもしれませんが、
どんな大物声優でも(全員ではないですが)リプは丁寧に見てますし、なんならエゴサもしています。
たまにそれを知って敢えてtweetしているファンもいますが、本当に辞めてほしいです。
好きな声優が、声優で成功するために、辞めてほしいです。
参考
現在声優は、変わった特技・資格、楽器、ダンス、外国語……などなど、「演技」以外でも本人の能力に依拠する何かが多く求めらる。
若くて、スケジュールが押さえやすく、製作サイドが求める特技(をもっている人)。これが揃っていれば、むしろ演技のほうをイチから教育しようということになる。声優の能力価値の逆転が起きているのである。
みちるさん「底辺声優の所感」より
これは、本当にその通りだと思います。
それは制作サイドだけではなく、事務所としてもそうなってきているのです。
「この子は若いし可愛いから女優志望だけど声優にしよう」
こんなことも良くあります。
いくら若くてかわいくても、声の良さがなければ声優にはなれません。
巷で元アイドルが声優になったという話を良く聴くので勘違いされがちですが、あの方々は声優になるために相当努力されています。
アイドルという肩書を捨て、養成所に通い、自力で合格しています。
これは、声優事務所では絶対ないですが、ルックスから入ってしまう芸能事務所が生んだ悪しき習慣だと思います。
制作サイドもそうです。
「自分の好きなアニメを一番ぴったりな声優に演じてもらいたい。」
というところからこの企画は儲かりそうだから
「ビジュアル重視で声優を前面に出していきたい。」
に変わってきてしまったと思います。
野球のアニメに、野球を知っている声優が起用された方が表現がリアルで良い。
などは声優としての演技に着目しているので良いと思いますが、演技以外のところから入ってそこから
声優を探す、というのは間違っています。
それを考えると、現場の新人声優さんがこう思ってしまうのも無理はないですね。
参考
「こういうキャラで売っているから」と、本人が「キャラの奴隷」と化していることはないか?
みちるさん「底辺声優の所感」より
これに関しても同じことがいえると思います。
「自分のキャラを売る」ということでなく「アニメのキャラとして生きていく」のが声優だと思います。
よく個性を生かして、という言葉が現場でも出ますが、自分をぐいぐい押し出していく、ということではないのです。
自分を殺して、キャラに寄せていくことによって声優としての個性がキャラに乗り移るんだと思います。
だから、基礎を勉強しないで個性ばかり売りにしている声優は声優とは呼べません。
参考
わたしは運がいい。かなり運がいい。とても恵まれている。距離的にも金銭的にも、実家は頼りやすいからだ。しかし、金銭的な面を理由に志半ばで折れていった役者仲間を、わたしは何人も知っている。
みちるさん「底辺声優の所感」より
これは先ほども述べた通り生活は一番大事ですからね。
もし、みちるさんが地方出身で実家も頼れない立場だったら、もう少し早くあきらめなければいけなかったかもしれません。
それに、大学に行くお金もできず、新しい「夢」も見つからなかったかもしれません。
それに関していうと、本当に良かったと思います。
24歳、全然まだこれからじゃないですか。なんなら、声優だって目指せると思いますよ。
これから新しいことを始めようとしていることに、尊敬しますね。
参考
ただの「声のきれいなフリーター」になるしかないのである。
みちるさん「底辺声優の所感」より
声のきれいなフリーター、めっちゃいいじゃないですか。
声がいいこと、活舌がいいことは本当にいろんな場所で活かせます。
営業だってそう、接客だってそう、人間のイメージとしゃべり方や声質は直結しているので、絶対にただの「声のきれいなフリーター」にはなりません。
ちょっとそこはブログですし悲観的に話しているだけなのかもしれませんね。
そこから先の記事に関しては大学に入ろうと思ったきっかけ、経緯などを話していますが、
基本「前向きになろう」とちゃんと開き直れている気はしますね。
まとめ
参考
でも、誰もが自由に夢をめざせる公平な社会の実現という目標。あらゆる差別や理不尽をなくしたい。学問でそれを解き明かしたい。この7年間が導いてくれた新たな道だ。
みちるさん「底辺声優の所感」より
最後に、このように書かれています。
もちろんこの記事をきっかけに知ったにわかではありますが、これに関しては一言いいたい。
みちるさんは「ちゃんと」夢を目指していたんだと思いますよ。
追いかけて、壁にぶつかって、迷って、いろんなことにも挑戦して。
それ全て「声優になるため」に足掻いてきた軌跡だと思います。
アニメやゲームの役に決まるということは、「確かな実力」と「運とタイミング」なのです。
そんなことはもうループ的に何度も何度も考えているとは思いますが、
制作者だって人間なので、個人の価値観があります。
決める側がいるというのは難しいものですが、進みだすと決めるのは自分だけです。
今後のみちるさんの人生が良いものになるように祈っています。
泉水みちるさん「声優養成所のカルマ」の所感はコチラ⇩
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泉水みちる「声優養成所のカルマ」考察
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