声優という職業は同じ芸能界と言われている他業種と何が違うのか!?
思うところが多かったので記事にさせていただきました。
初めて私の記事を読んでいただいている方、ありがとうございます!ぶるまんと申します。
私は、今までずっと芸能界に携わってきており、声優の発掘やマネジメントなどなど様々なことを経験してきました。
そして、他の事務所で俳優やタレント、アーティストの新人発掘もしていたこともあるので、ある程度芸能界幅広く精通しているつもりです。
その経験を活かし、今は本業をやりながら、声優志望の方に向けてオーディション対策の記事などを書かせていただいております。
Twitterでも活動しておりますので、気軽にDMやご意見いただけましたら幸いです。
ID:https://twitter.com/blue_mondayblog
もくじ
声優という職業
まず初めに、私の中で最近の声優業界に対して思うことが色々あり、声優とは他の芸能の仕事と比べて何が違うのか、ということを改めて考えさせられたことがありました。
下記、私のツイートになりますが、現在エントリー受付中の声優オーディション
に関して下記のようなツイートをしました。
オーディションの公式が事前にmystaのフォロワー増やすのを推奨するって、びっくりしました。
一般投票も審査にいれるということですが、それって実力審査ではなく人気審査になるのでは・・・?
ファンが付きやすい人をキャスティングしたいのか…分からない。#東京ミュウミュウオーディション
— ぶるまん@声優育成する人 (@blue_mondayblog) April 27, 2020
東京ミュウミュウのオーディション概要に関しては対策記事も書いているので下記ご参照ください。
このオーディションでは、一般公募ということで事務所に所属していない方が東京ミュウミュウの主役に抜擢されるという異例のオーディションで、今話題になっています。
その審査方法というのが、3次審査まではmystaというアプリを使って一般の方も投票して審査していくというものになります。
(4次審査はイベント審査、5次審査は合宿審査とかなり審査数多めのオーディションです)
もちろん、最終的にはキャラクターに合うキャストを制作委員会が選ぶということで間違いないとは思いますが、3次審査までの間がmystaというのが、本当に良い原石が残らないのではないかと不安に思ってしまいます。
声優は今や人気商売・・・というのももっともですが、そもそもの声優に対する考え方が甘いのではと。
確かに、オーディションの名目として
ポイント
声優事務所スワロウに所属
東京ミュウミュウ姫宮いちご役でデビュー
ポニーキャニオンからアイドルとしてデビュー
というプライズがあるので、3次元としても活動OKの方が採用されるというとこは分かります。
ただ、それを一般投票型のオーディションにすることによって、オーディション主催者でも選びたい人を選べない状況を作っていることも考えられるのではないでしょうか。
そもそも主催者が良いと思ってもmysta内の評価が高くない方に関しては残したら後で出来レースだと叩かれてしまいます。
そしてmystaは基本的に動画投稿型のアプリなので、加工などもし放題といった印象もあります。(もしかしたら審査の縛りで加工なしなどの規約が付く可能性はありますが)
ある程度早いタイミングで対面型の審査をしないと、4次イベント審査で会ってみて「なんか違った」ということも多いのではないでしょうか。
そのようなオーディションがちょくちょくみられている声優業界に疑問を抱き、ここではっきりと芸能界と声優の線引きをさせていただきたいと思います。
あえて、「声優は人気商売ではない」と言わせていただきます。
※あくまでも他の芸能系の職種が悪いという意味で言っているわけではありませんので、ご了承ください。
声優と他の芸能職との違い
何度かツイッターやこの記事でも述べさせていただいておりますが、「声優は技術職」だと思っています。
というのも特に昔気質な考えをしているわけでもなく、声優=アニメ・吹き替えを仕事にしようと考えている人であれば、このことは肝に銘じておいた方がいいと思います。
声優
よく、オーディションに受かって事務所所属になった方でも
ポイント
「どのくらいの頻度で仕事をもらえますか?」
「どのような役をやらせていただけるのでしょうか?」
などの質問をされることが多いです。
そもそも、声優の売れ方に関しては色々あるにしても、基本的には一つしかありません。
「オーディションに合格して作品に出演すること」
これは、新人声優であれば言うまでもなく、大物声優であっても変わりません。
大物声優には案件は多く来ますが、それも「オーディション案件」の事なのです。
そこで実績を作って人気も出てきて初めて「指名でのゲームの仕事」「アーティストデビューの話」「イベントの出演依頼」なども来ることになります。
最初のきっかけとして、新人のうちに若いからなど、新鮮さでアニメの主人公などに抜擢されるケースももちろんあります。
もちろん、そういう場合は制作の意図で「大物声優にやってもらった方が演技も人気も最初から確約されてるけど、新人を起用して話題性を作りたい」などの事が多いです。
ただ、この声優戦国時代では、そこで声優自身が満足することなく現場で学ぶことに積極的にならなければ、大して技術もつかず人気だけが出てしまうこともあります。
数年はその実績だけで新しいゲームの案件が指名できたりということもあるのですが、すぐにあたらしい新人に目移りされてしまいます。
それに、アニメ案件自体はほぼほぼオーディションで決まるので、その後作品に恵まれることはどんどん少なくなります。
なので、それを自覚して新人のうちから現場に出ていることを生かして自分を高めることに必死になった声優が、声優業界で残っていきます。
そういう意味で、声優は演技力が大原則としてないと成立しない職業なのです。
女優・俳優の売れ方
もちろん、女優・俳優にも演技力という面では技術職ということは言えると思います。
発掘方法としては声優と似ていて、ほぼほぼ演技未経験で実績のない方から選ばれます(声優と違ってビジュアルやスタイルも重視するので、スカウトということも)
そこから何年もかけて演技力をつけていって、舞台なども経験してようやくオーディションに合格してドラマデビューというのは有村架純さんなどのお話しからも語られていることですよね。
ただ、これは理不尽なのですが、アニメと違ってテレビドラマや映画は「作品としてのヒット」よりも「役者からのヒット」の方が強い傾向があります。(NHKの連ドラなどは別)
アニメはパッケージや版権ビジネス、ドラマは視聴率ビジネスなのです。
キャスティングの方法にもアニメと違うところが多く、作品のオーディションはあるものの、それは「事務所の力」が大きかったりメインキャストの何人かはもうすでに決まっているということが多いです。
人気アニメの実写化など、その時の人気俳優や女優が抜擢されることが多いですよね?アニメのようにオーディションで主演を決めては、視聴率が付いてこないのです。
なので、アニメ業界よりも厳しいかもしれませんが、ヒット作品の何番手かの役をオーディションで勝ちトリ、出演を重ねて実績と人気を作っていったり、ジャニーズなどの元々人気のある方が売れていくということが多くなっているのが現状としてありますね。
タレントの売れ方
タレントはさらに理不尽です。
声優・女優・俳優・アーティスト・文化人全てひっくるめてタレントと言われている時代でもあったりするので、ただただ話が面白かったりキャラが濃いだけでは全く売れません。
そもそもタレントという職業はすでに存在しないのかもしれませんね。誰にしても何かで実績を作った方だったりするので、まずは一つのジャンルを極めてそれを元に露出を多くしていくのが理想的です。
ここでは敢えてざっくりとしか紹介しませんが、バーターが強い職種かもしれません。
アーティストの売れ方
アーティストは、上記3職種とは全く違った形になります。
例えばバンドやシンガーソングライターの場合、多くの場合はもともとアーティスト活動をしていて、より多くの人に知ってもらうためにメジャーデビューを目指すことになります。
(もちろんインディーズで活動しているバンドなども増えていますが)
それが事務所の発掘担当の目に留まり、事務所所属になります。
事務所が決まっただけではすぐにデビューとはならず、事務所のマネージャーが音楽レーベルにライブを見せたり、地道にライブ活動で集客を増やすことによって音楽性と集客性でお金になると見込まれてようやくリリースにこぎつけられます。(もちろん例外はあり)
メジャーレーベルでのいいことは、タイアップをとれたり、宣伝専門で動いているスタッフがいるのでプロモーションの幅が広がったり、人気によっては音楽フェスにも口がきいたりということもありますね☆
アーティスト活動に関しては、ライブでの集客とグッズの売り上げが純利益の多くを占めるので、完全なる人気商売ではあります。
音楽性などのことに目が行きがちですが、「客商売のイメージ」とは程遠いアーティストほど人気に左右されたりします。
まとめ
上記のように芸能界と言えど全く売れ方の違う職種をご紹介してきました。
もちろんどの職種も「技術」がないと通用しないのは言うまでもありません。
特に声優という面においては、最近アイドル化・タレント化していたりというイメージは強いですが、決してタレント性だけで売れているということはないです。
アニメ制作プロデューサーにもいつも口酸っぱく言われておりますが、あくまでも
「キャラクターに合うのが全て」
なのです。
現状の声優業界を勘違いしている制作陣が、どっちつかずの企画を進めようとしていることに対して思うことがあり、記事を書かせていただきました。
東京ミュウミュウオーディションに関してはポニーキャニオンがmystaと提携しているということもあったりするので政治としてmystaを使わざるを得ないということはあると思います。
そういう政治のために、作品をつぶすことになり、声優志望の方が不安になるようなやり方になってしまうことは本末転倒ですね。
もし、自分が東京ミュウミュウオーディションを担当するのであれば
注意ポイント
1次審査は制作委員会主導で行い、まず最低限のところを選別する
2次審査で全国の志望者に合い、キャラクターに合うか、3次元での活動もできるかなど精査する
3次審査で初めてmystaを使った一般投票を実施し、mystaというアプリのプロモーションも行う
4次審査で合宿審査やイベント審査などを行う(最終的には制作委員会が決定)
などの方向性にして、なるべく軌道修正できるように実施すると思います。
まだ詳細が発表されていないので何とも言えないですが、今後の声優オーディションが「声優」という職業に沿った形で実施されることを願いたいと思います。
最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。