声優だけで生活できている方は300人ってホント??意外と知られていない声優のお金の話をします。
はじめまして。
私は、今まで声優事務所で新人声優の発掘・育成・マネジメントを担当してきました。
その経験と業界の知見を生かして、声優志望の方に向けたオーディション対策や声優のことを記事にしております。
Twitter(https://twitter.com/blue_mondayblog)でも活動しておりますので、チェックしていただけましたら幸いです。
もくじ
はじめに
この記事を読まれている方は、声優志望だったり、将来声優だけで生活していこうとしている方が多いと思います。
今回の記事では、その声優とお金の事情について触れていきたいと思います。
ちょっとリアルすぎる話ですし固くなってしまうところもありますが、ご覧いただけましたら幸いです。
※今回の記事は声優事務所に所属している声優の話です。金額などは案件によって異なるので、参考までに見てください。
ポイント
声優のギャラってどのように決まるの?
声優だけで生活するってどのくらい大変なの??
どんな仕事が一番儲かるの?
このような疑問は誰にもあると思います。
将来声優で生きていくのであれば、リアルにお金のことも知っておくとその世界に踏み入れた時に戸惑わずに済むと思いますよ☆
声優事務所に関しての大手・個人・フリーの違いはこちらの記事で明記しています。
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個人経営・小規模の声優事務所やオーディションで気を付けること
続きを見る
職業「声優」の立ち位置
声優は、事務所に所属していてもフリーでも、「個人事業主」になります。
基本的には事務所と業務提携という形で契約を結び、声優事務所が取ってきた仕事に対して発生したギャラを、分配する形でお給料が支払われます。
声優事務所が取ってきた仕事とは、事務所経由で来たオーディションや案件から来た仕事や、声優個々での繋がりから発生した仕事も含めて全部になります。(契約内容次第だが)
会社員であれば、年間の所得や経費は会社が納税作業や手続きをやってくれますが、声優は個人事業主なので一定以上の所得がある声優は確定申告が必要になります。(これは必要になってから勉強すれば大丈夫です。。。ムズカシイので…)
「事務所に所属」と言っても、基本的には事務所の契約の範囲で活動するフリーランスというイメージでも良いと思います。全然フリーじゃないけど。
ギャランティの配分
以前にも触れたことはあると思いますが、給料の話をする前に一つだけ。
イベント出演やゲーム収録などの全てのギャラに関しては、基本事務所のマネージャーが金額の交渉をします。
例えば5万の仕事があったとしたら、もちろん事務所側も「マネジメント料」という形で、その中から売り上げを引きます。
その配分に関しては、最初の契約の時に決めた比率で決定します。
養成所がある声優事務所に関しては
(声優7~8:事務所2~3)といったところが多いと思います。
養成所がなく、総合芸能プロダクションの場合は
(声優2~5:事務所5~8)という感じですかね。
先ほどの5万で言うと、声優に入ってくるお金は養成所ありの事務所は35,000~40,000円、芸能事務所で10,000~25,000円になります。
金額だけ見ると声優事務所の方が確実に良いと思いますよね。それは、養成所の学費をメインの収益にして会社を経営しているからなのです。
逆に芸能事務所はギャラが全てとなり、女優俳優などと足並みをそろえる意味でもそのような配分になってしまいます。(CM出演などは数千万などになってしまうため)
その代わり芸能事務所は直接所属を勝ち取れるところが多いので、メリットもあります。
そして、新人の時はギャラをもらえなかったりする事務所もあるので、そこは最初の契約時に確認しておきましょう。
声優のギャラ参考値
さて、ここからは声優のギャラについて具体的に話していきたいと思います。
声優の仕事としては
注意ポイント
●アニメ
●ゲーム
●ラジオ
●雑誌取材
●イベント出演(トーク・ライブ・公開収録)
●吹き替え
●ナレーション
●パチンコ
●舞台・朗読劇
●主題歌・キャラソン歌唱
などが主な仕事になります。
まずはじめに言っておきたいのが、ほとんどの仕事はアニメ・ゲームに紐づくものが多いです。
声優として実力をつけてアニメのキャストオーディションに受かることによって、アニメ・ラジオ・雑誌・イベント・歌唱などの仕事が発生します。
それによって知名度や実績があがり、パチンコや舞台、朗読劇などなどの仕事につながっていくという風にお考え下さい。(吹き替え・ナレーションは全く別)
そして、金額感に関しては基本的に新人声優~中堅くらいで述べておりますのでご注意ください。
アニメ出演
アニメに関しては、声優ごとのランクによってギャラが異なります。
日本音声製作者連盟に加入している事務所としていない事務所とで異なりますが、新人声優の場合はほぼ「ジュニア」扱いとなり、1収録あたり15,000円と決まっています。
これはメインキャストであってもモブであっても同じギャラなので、ワード数などは関係ありません。
※日声連に加入していない事務所の場合、どれだけ経験を積んでもジュニア枠
ランクが上がると最大150,000円という話も聞いたことがありますが、自分の知っている範囲では45,000円くらいがマックスなのではないでしょうか。
例えば一本15,000円で3ヶ月毎週一話収録して12話録ったとして、3ヶ月のギャラの合算が180,000円になります。
そこから事務所の取り分が弾かれるのでさすがにこれだけで生活していくのは厳しいですね。
ただし、冒頭にもお伝えしたように関連する仕事が多く発生していくので、声優の基本はやはり今はアニメになると思います。
ゲーム出演
ゲームは、コンテンツによって大きく異なります。
追加キャラとしてショットで録ってそれまで、ということ言うこともありますし、大きなゲームだと多角的な展開含めてコンテンツ側と声優事務所で契約書を交わしたりもします。
基本的には「初回収録」と「追加ボイス」とで分かれますが、大体200ワード50,000円~100,000円くらいのところが多いのではないでしょうか。(そこから事務所分が引かれる)
個人的なイメージで言うと、海外のゲーム(特に中国)は結構言い値で金額が決まったりするので、いい金額になりますね☆
ラジオ出演
ラジオ出演に関しては、収録や生放送、動画ラジオや音声のみで若干金額の差があります。
アニメ・ゲームコンテンツに紐づかないラジオに出演する場合、動画ラジオで20,000円~30,000円、音声のみで15,000円~20,000円というイメージですね。
アニメ・コンテンツに紐づく場合はもう少しギャラが上がります。
そして、コンテンツに紐づく生放送などに出演する場合は、そのコンテンツにはよりますが2時間で50,000円~100,000円くらいにまで跳ね上がります。
子の生放送が月に何本か入ってくるだけでアニメ収録のギャラを超えてしまいますね。
ラジオや動画系の出演は声優の給料にとってかなり大きなものになります。
雑誌取材
雑誌に関しては、皆さんが良く読んでいるような声優雑誌だったり、WEB系の媒体も含まれます。
これに関しては撮影あり・なしで若干ギャラは変わったりしますが、取材のみだと5,000円~15,000円、撮影ありで20,000円~30,000円という感じですかね。
もちろん表紙や巻頭グラビアなどがある場合は、かなりの金額になります。
イベント出演
イベント出演にもパターンが何個かあります。
ポイント
●トークのみ
●トークとお渡し会
●トークとミニライブ、お渡し会
●ライブがメインのイベント
●劇場挨拶・先行上映会
などなど様々な形式のものがあります。
この中で一番高いのは、やはりライブメインのイベントになります。
大きいライブ会場で数日間にわたり実施するようなものに関しては、1ステージ当たり何十万と行くようなケースもあります。(リハやダンスレッスン込み)
下手すると一つのライブステージ数日間で1,000,000円ほどのギャラが発生することもありますよ☆
さらに言うと、2次使用というパッケージ化する場合はギャラの半分ほどがさらに支払われます。
逆に、トークのみやトーク&お渡し会、劇場挨拶や先行上映会は1日当たり50,000円~100,000円のことが多いです。
吹き替え・ナレーション・パチンコ系
こちらに関しては新人声優ではなかなか小さな仕事しか回ってこなかったり、ちょっとした役でしか出演できないため、あまりすぐに仕事はないとは思います。
吹き替えやナレーションに強い事務所に行って小さな仕事から獲得していくところから始まります。
パチンコ系に関しては有名声優しか使わないようなこともあるので、アニメでしっかり実績を積んでからという形になりますね。
吹き替えに関しては1時間50,000円~150,000円のイメージ、ナレーションに関してはテレビ番組が100,000円ほど、CMナレーションになると数十万~くらいの金額になります。
パチンコに関しては、ゲームの収録と似ているところはありますが、パチンコ業界はお金があるので1つの収録で数十万位になることも珍しくありません。
吹き替えに強い事務所に関しては、以前の記事をご覧ください。
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声優事務所の選び方-特徴を知って自分に合った事務所選びを!
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舞台・朗読劇
今では声優さんが舞台に出たり、朗読劇が行われたりというのが当たり前になってきています。
声優さんばかり出ている舞台もあるくらいですね。
舞台に関しては、「番手」によっても異なりますし、個々の声優が呼べる人数や小屋の規模によっても大きく変わってきます。
あまり実績のない新人声優であれば、1ステージあたり5000円~15,000円くらい。
中堅どころで言っても1ステージ15,000円~25,000円くらいでしょうか。
大きな会場でかなり呼べる声優であれば、1ステージ70,000円~100,000円ということもあります。
2,5次元舞台で一つの公演で30~40ステージあったりする場合は、拘束期間は長いとはいえ、1,000,000円くらいのお金が入ってくることになりますね。
ただし稽古期間が1ヶ月以上あったり、その間仕事をガッツリ入れられなかったりするのであまり効率のいい仕事とは言えません。新人としては、お金よりも舞台経験で演技に生かす意味で出演させている事務所が多いです。
朗読劇に関しては稽古が数回+場当たりということが基本になるので、声優のスケジュールを縫って出演できるため有名声優も参加したりしています。(金額は規模にもよるので省略します)
主題歌・キャラソン歌唱
こちらに関してもアニメ・ゲームに紐づくものです。音楽レーベルと契約していてソロデビューしている声優さんは全く別になるのでご了承ください。
声優として主題歌・キャラソンを歌う場合は、「買い切り」といってその歌唱収録のギャラ以外は発生しない仕組みになっています。
ポイント
主題歌歌唱(ユニット):50,000円~100,000円
キャラソン歌唱(ソロ):50,000円~100,000円
という感じですかね。コンテンツによっては主題歌でもソロのキャラソンでも同じくらいに設定されていることも多いです。
その他
上記ギャラ以外にも、ゲームのところで説明したような多角的な展開をしていくコンテンツの場合、「毎週〇曜日と〇曜日はキープ」という条件の元活動していくようなものもあります。
その場合は、一か月あたり〇〇万円などの条件で契約し、その契約が終わるまで優先的にスケジュールを切ることを条件に継続的にギャラが発生するようなこともあります。
さらにアニメ・ゲーム・ライブのギャラなどは別でも発生するので、金銭面で言うとかなり大きなものになります。
ただし、ほかのスケジュールが切りにくいのでデメリットもあります。
声優の年収
ここまで細かい仕事に関するギャラを書いてきましたが、実際の声優の年収はどのくらいになるのでしょうか。
ぶっちゃけて言うと、事務所に所属しているが仕事がない声優というのも多く存在すると思うので、ミニマムの数字は0円だと思っています。そしてその境遇の声優が大多数です。
逆に、毎クールアニメにも出演していて付随する仕事もほぼほぼ休みなくこなしている声優さんに関しては2,000万~3,000万以上は行くと思います。
その中でも、いわゆる300名の「声優として生活できている人」のギリギリ境界線の数字としては、300万円~400万円なのかなと。。。
日本のサラリーマンの平均年収が400万円程度なので、それとおなじくらいいのイメージですかね。
そういう声優さんは毎クールアニメがあるわけではないが、代表作があったりゲームやイベント、ラジオなどで活動している人が多いイメージです。
さいごに
ざっくりとですが、声優として発生するギャラを書いてきました。
仕事が入り始めればかなり稼ぐことも可能ですが、最初はアニメのモブだったり、ゲームのショット案件だったり小さな舞台があるかないかという感じになります。
そういう経験を踏みつつ、アニメのオーディションに受かることによって仕事の幅が広がっていきます。
ただし、アニメに出演している声優は年間1,000名ほどいるにもかかわらず3作以上出演している声優は2割~3割ほど。
アニメに出演していない声優も9000名ほどいることを考えると、声優で生活していくというのはかなりハードルが高いということを認識してください。
そのために、今のうちに基礎を固めて継続的に出演できる声優になってほしいと思います!
最後まで読んでいただきありがとうございました!